
私達のアプローチ
交通渋滞とは何か?
MoBeiフォーラムが取り組むのはインドの諸都市及び日本における「交通渋滞」の解決です。渋滞という言葉はニュースや車での移動時など、日常生活の中でよく使われていますが、実は時間と空間の2つの軸で見ると複雑な現象です。ここでは「交通渋滞」について、簡単に整理したいと思います。
交通流
交通流とは、道路上を走る多数の車両を流れとして捉えた概念で、時間的な「交通流率」と、空間的な「交通密度」で表すことができます。
交通流率(時間的):ある地点の通過台数(台/時)、交通量
交通密度(空間的):ある単位距離あたりの車両数(台/km)
🚗==🚗==🚗 ==(低密度・高速) ⇒ スムーズ
交通流が過大な状況
交通量が過大になると、道路上を走る多数の車両がその地点の最大容量を超えた状態になります。いわゆる「交通渋滞」の状況です。
交通渋滞:
ある地点(ボトルネック)において、臨界密度よりも高い密度の状態。
交通量の多い重要交差点等がボトルネックになりやすい。
🚗🚗🚗🚗🚗 (高密度・低速) ⇒ 渋滞
🚗🚗🚗🚗🚗== (高密度・高速) ⇒ 急ブレーキ車線変更など、動的渋滞
交通渋滞の従来の解決方法
このような「交通渋滞」について、特に交差点に起因する渋滞に対する解決方法は、車線数確保や交通信号の適切な制御を行う、といった方法が中心となってきました。
MoBeiフォーラムが取り組む問題

なぜ問題が生じ、解消されていないのか
日本を始めとする先進国では、道路整備のインフラ設備の整備・改善は、増大する自動車輸送機器による交通需要増加とのいたちごっこの関係にあります。
また、新興国(特にインド)では経済成長を止めることなく、整備を進めなければならないという事情もあります。
これに対して行政においては、信号機や道路設備などの整備を行っていますが、道路側の物理的な容量の限界を解消することはできませんでした。また自動車会社においても、これまで問題を解決する方法が見いだせなかったと聞いています。
結果、需要の拡大に対してリソースが限界を迎えると、「交通渋滞」はしばしば解消されずに残されていた、というのが現状と言えます。
誰のどんな問題か?それを解消したときの価値はどれくらいか
MoBeiフォーラムは、「交通渋滞」について、現在問題に困っており、もし問題が解決できた際に受益者となるグループ(ターゲット)を2つに分類しました。
ターゲット1:インドおよび日本の行政、道路会社
問題
・誰が :車を利用する人
・どこで:インド及び日本の都市部
・どんな:渋滞増加による問題
・遅延による経済損失
・大気汚染による健康被害
解消した際の価値
インドにおいて、渋滞 による年間の経済損失は約60億ドル=8,873億円
算出の参考:https://www.ituaj.jp/wp-content/uploads/2015/06/2015_07-03-sp3kaigai.pdf
日本において、渋滞 による年間の経済損失は16兆円

ターゲット2:インド及び日本の自動車会社
問題
・誰が :自動車会社
・どこで:インド及び日本の都市部
・どんな:渋滞増加による問題
・CO2の排出量増加(カーボンフットプリントの観点で)
参考:https://www.suzuki.co.jp/corporate/csr_environment/intro/strategy.html
解消した際の価値
走行分のカーボンフットプリントの最大4% – 6%を削減が可能
注:カタログ燃費と実燃費の差20-30%、そのうち使用環境によるもの約20%
算出の参考:https://www.jama.or.jp/operation/maintenance/pdf/jitsunenpi.pdf

どのように取り組むか
コンセプト
MoBeiフォーラムは問題に対し、従来の車線数確保や交通信号制御の適切化ではなく、交差点手前での経路分散を意図した介入(行動変容)と、行動データのミクロ・マクロモデルの分析で渋滞の削減する、という解決方法を目指しています。つまり、ボトルネックとなる地点の手前でドライバー個々の行動変容を喚起することで経路を変え、交通流を変化させることで渋滞を解消しようというコンセプトです。
MoBeiフォーラムのコア
MoBeiフォーラムのコアは、所属するメンバーのノウハウにあります。
具体的には大きく2つ、1つ目は「情報工学・交通工学」をベースとした、車両の挙動を元にした行動変容の解析であり、2つ目は「デザイン・心理学」をベースとした、個人属性と行動変容の関係を元にしたコンテンツの生成です。

MoBeiフォーラムは何を受け、何を提供するか
MoBeiフォーラムの出入り口になるのは、ドライバーが使用するスマホのアプリです(アプリの提供は、自動車メーカーや行政を想定しています)。我々は、アプリを通してドライバーの属性や行動データを収集し、行政の渋滞や交通事象データを組み合わせ、数理モデルで計算します。計算結果として経路を分散させるコンテンツをアプリに提供します。スマホアプリをインターフェースとして、こうした収集・処理・提供というプロセスを繰り返すことで、個々のドライバーに行動変容を起こし、その結果をフィードバックして次の行動変容を喚起する仕組みになっています。

MoBeiフォーラムは誰と解決するのか
ご紹介したコンセプト・システムを実現し、社会実装していくには、所属するメンバーのみでは非力です。そこでMoBeiフォーラムは、産学官政の会員およびパートナーの皆様との連携を大事にしたいと考えています。同時に、我々を仲立ちとして、日本とインドの産学官政の御縁を深めることに貢献していければと望んでいます。

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